病気の知識

花粉症

花粉症のこと

2〜3月くらいになると、花粉症の症状で当院の外来を受診する患者さまが増えてきます。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎は国民の全体のうち約4割の方が患っている罹患数第1位の疾患です。近年、花粉症は増加傾向にあり、これまではかかっていなくても、またどの年齢であっても新規に発症する可能性のある病気です。
暖かくなる季節に、くしゃみ、鼻汁、鼻閉(はなづまり)などの症状が続いていて花粉症かな?と心配になる場合には当院までご相談ください。

花粉症とは?

花粉症は、正式にはアレルギー性鼻炎のひとつで、花粉などの抗原(アレルギーのもとになるもの)を原因として、くしゃみ、鼻汁、鼻閉(はなづまり)などの鼻炎症状を呈する病態です。

アレルギー性鼻炎の分類は?

花粉など、花粉の季節がくると発生するアレルギー性鼻炎を「季節性アレルギー性鼻炎」と呼んでいます。一方、ダニ、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛など季節に関係なく存在する抗原に反応して鼻炎症状が続くものを「通年性アレルギー性鼻炎」と呼びます。

● 季節性アレルギー性鼻炎
花粉などが原因(いわゆる花粉症)で、花粉の季節がくると発生します。

● 通年性アレルギー性鼻炎
ダニ、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛が原因で、季節に関係なく存在する抗原に反応して鼻炎症状が続くものを指します。

花粉症と花粉の関係性について

2〜3月くらいになると、花粉症の症状がでてくる患者さまが増えてくるのですが、どのような花粉が問題になるのでしょうか?
実は、スギ花粉が圧倒的に多く、花粉症の患者さんの約70%はスギ花粉が原因であるとされています。その他、イネ科、キク科などの花粉が問題となっています。

なぜこれほどまでにスギが原因の花粉症が多いのかというと、日本にはスギ林がとても多いことが一つの原因となっています。
日本のスギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%も占めているとされています(林野庁業務資料/平成24年3月31日)。スギ花粉は、冬が過ぎて暖かくなり始めると開花して花粉が一斉に飛び始めていきます。そのため、この時期になると花粉症の症状も出てくるというわけです。
近年は、温暖化の影響で花粉量も増加することが予想されており症状が悪化する可能性がありますので、しっかりとした対策が必要になりそうです。

花粉についてのお役立ち情報

スギやスギ花粉の話が、林野庁のHPに掲載されています。

森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A
http://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/qanda.html

花粉の量については、日本気象協会の埼玉県の花粉飛散状況が掲載されています。

埼玉県の花粉飛散情報
https://tenki.jp/pollen/3/14/

花粉症の診断は
当院でも行なっております
1

問診

診断においては問診から始めます。くしゃみ、鼻汁、鼻閉(はなづまり)の3つの症状があることが診断にとても重要です。風邪のときや副鼻腔炎などの場合も同様の症状の場合がありますので、鼻炎症状を起こすその他の病気がないかなどを考えていきます。

  • くしゃみ
  • 鼻汁
  • 鼻閉(はなづまり)
2

鼻の観察

花粉症の場合には鼻の粘膜がむくんでいて、さらさらとした鼻汁が見えます。
粘っこい鼻汁の場合には、他の病気のことがあります。

3

鼻汁好酸球検査

花粉症を含むアレルギー性鼻炎の場合には、鼻汁の中に白血球の一部である好酸球の数が増えていることが知られています。患者さまには鼻をかんでもらって採取できた鼻汁を検査します。

4

アレルギー検査

当院では血液検査でのアレルギー検査を行っています。
通常の血液検査のように血液を採取して、検査センターで花粉を含むアレルギーの検査を行います。数日で結果がでますので次回受診の際にお伝えします。
お急ぎの場合や、小児で採血が苦手の方には指先からの少量の血液で検査できる迅速アレルギー検査もあります。おおよそ検査時間は20分程度で、当日に結果がわかります。

5

レントゲン

副鼻腔炎などの他の病気やその合併を疑う場合にはレントゲン撮影などを追加します。
アレルギー性鼻炎・花粉症患者さまの15〜20%では副鼻腔レントゲン検査で異常所見が認められるとされています。

花粉症をもっていると
死亡の頻度が少ない?

花粉症をもっている方にとってはつらい時期。しかし、「花粉症をもっているほうが死亡率が少ない(可能性がある)」という話があります。

岐阜県の岐阜大学のグループが発表した「スギ花粉症と死亡率」に関する調査研究(2018年6月「Journal of Epidemiology」誌に掲載[文献1])では、岐阜県高山市にお住まいの45歳から80歳までの合併症(がん、心臓病、脳卒中)を持たない方、12,471人を対象に調査が行われました。

花粉症なし
(2,444人)
花粉症あり
(10,027人)
調整後の
ハザード比
(95%信頼区間)
全体 121人 1,155人 0.79(0.65-0.95)
がん 58人 446人 0.88(0.66-1.16)
心臓血管病 28人 250人 0.95(0.64-1.41)
がんと心臓
血管病以外
35人 459人 0.60(0.42-0.85)
呼吸器疾患 7人 174人 0.38(0.18-0.82)

この結果から、花粉症を持っている方のほうが調査期間中(2002年から2013年まで)の死亡の頻度が統計学的に少なく、死亡原因としてはとくに呼吸器疾患での死亡の頻度が少ないということがわかりました。
なぜ、花粉症をもっていると死亡の頻度が少ないかということについてまでは、よくわかっていません。花粉症の症状としての鼻汁などの粘液が、外からのアレルギー抗原や病原体の体内への侵入を防いでいることや、免疫反応を高めている可能性なども考えられているそうです。

実は本研究以前にも他のグループが日本人を対象として花粉症と死亡率を調査する同様の研究が行われていまして、その際には花粉症合併の方のほうが、全体の死因(HR 0.57: 0.38-0.87)やがんによる死亡の頻度(HR: 0.48: 0.26-0.92)が少なかったことが示されています[文献2]。

参考文献
1. Kenichi Mori, Keiko Wada, Kie Konishi et al. Cedar Pollinosis and Mortality: A Population-Based Prospective Cohort Study in Japan. J Epidemiol. 2019; 29(2): 61-64.
2. Konishi S, Ng CF, Stickley A, Watanabe C. Pollinosis and all-cause mortality among middle-aged and elderly Japanese: a population-based cohort study. Clin Exp Allergy. 2016 Aug;46(8):1083-9

花粉症の治療

花粉症を含むアレルギー性鼻炎については、2016年に鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年版(改定8版)が出版されています。
当院ではガイドラインに沿った形で診療を行っていきます。

治療の目標

症状が軽度で日常生活に支障がない程度にすること。また、症状があっても悪化する頻度が少なく持続しない状態などを目指していきます。

治療法の種類

花粉症は基本的にアレルギーです。下記のような治療法に分類できます。

  • 抗原(花粉)を回避:
    メガネ・マスク
  • 症状を抑える薬物療法:
    アレルギー薬
  • 免疫反応を調整:
    アレルゲン免疫療法
  • その他:手術など

治療の際に覚えておくと役にたつことは?

花粉症の症状によって薬を調整しますので、どんな症状がつらいか(日常生活に支障をきたしているかなど)を医師に伝えるのがよいです。

適切な治療方針の決定のためにもアレルギー検査(抗原検査)をおすすめします。

アレルギーとしての治療は症状の強い時期だけ使用しても投与を中止してしまうと短期間で再発しやすいです。

花粉症が自然に治る(自然治癒)は少なくスギ花粉では自然治癒率はわずか数%と言われています。長期に病気を改善したり治癒できる方法はアレルゲン免疫療法になります。

抗原(花粉)を回避

アレルギーの原因となる抗原(花粉)を回避することこそ、スギ花粉症を回避するためのポイントです。

花粉情報に注意する(以下、埼玉県の花粉情報、日本気象協会)。
https://tenki.jp/pollen/3/14/

花粉が多いときの外出を控え、外出時にはマスク・メガネを着用する。

表面がけばだった毛織物などのコートの使用を避ける。

帰宅時には、衣服や紙をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをして鼻をかむ。

花粉の多いときは、窓や戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、短時間にとどめる。

花粉の多いときの、ふとんや洗濯物の外干しは避ける。

掃除をこまめに行い、特に窓際を念入りに掃除する。
(鼻アレルギー診療ガイドライン2016)

症状を抑える薬物療法(当院で実施)

薬物療法には、内服薬、点鼻薬、点眼薬を用いる方法があります。
症状を細かく教えていただけますと、たくさんの薬の中から症状に役立つ薬をより適切に選べますのでご協力をお願いいたします。

内服薬

下記の内服薬が、花粉症治療でよく用いられます。

● 抗ヒスタミン薬:
アレグラ®、アレロック®、ザイザル®、クラリチン®、ビラノア®など
一般にアレルギー薬として処方される薬剤です。

● ロイコトリエン受容体拮抗薬:
プランルカスト(オノン®)、モンテルカスト(シングレア®、キプレス®)
鼻粘膜の細胞からでるロイコトリエンと呼ばれる花粉症症状を引き起こす物質を抑えます。

● プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2受容体拮抗薬:
ラマトロバン(バイナス®)
鼻粘膜の血管拡張や血管透過性を抑えて鼻閉を改善し、くしゃみ・鼻漏も改善します。

● その他
ケミカルメディエーター遊離抑制薬:クロモグリク酸(インタール®)、トラニラスト(リザベン®)など、Th2サイトカイン阻害薬(スプラタストトシル酸塩:アイピーディー®)、ステロイド薬(セレスタミン®)

点鼻薬

ステロイド薬が含まれている点鼻薬を、鼻噴霧用ステロイド薬をいいます。
現在のアレルギー性鼻炎治療薬のなかでは症状改善効果が強いです。内服薬等よりも症状が改善されるまでの時間が短く早ければ1〜2日で効果がでます。

●ナゾネックス®、リノコート®、フルナーゼ®、アラミスト®、エリザス®など

点眼薬

花粉症に眼のかゆみなどアレルギー性結膜炎の症状が合併している場合に用います。

アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法とは、からだを花粉などのアレルゲン(抗原)に少量から慣らすことで、症状を和らげたり、根本的な改善を期待する治療法です(細かい作用機序などはさまざまありますが、医学的にも難しいのでこの部分は割愛させていただきます)。

アレルゲン免疫療法と
一般の花粉症治療の違いは?

一般的な花粉症治療とどのように違うかというと、薬物療法(内服薬など)は症状を引きおこす物質(ヒスタミンなど)を減らすことで鼻の内部の炎症を抑える治療です。アレルゲン免疫療法の場合には、免疫反応自体を調整します。

アレルゲン免疫療法の種類

アレルゲン(抗原)の投与経路により、下記のように分類されます。
現在は、舌下免疫療法は外来でも簡便に実施可能であり広く行われています。

  • 舌下免疫療法
  • 皮下免疫療法
舌下免疫療法の対象となる方

スギ花粉症、ダニ(通年性)アレルギー性鼻炎の患者さまが対象となります。

お子さまも治療を
受けることができます

舌下免疫療法は、お子さまにも受けていただくことができます。
ただし、重症の気管支喘息・悪性腫瘍・免疫系に影響を及ぼす恐れのある方は受けることができません。

舌下免疫療法について

治療薬(抗原のエキス含有)を舌の下に置き、定められた時間保持したあと、飲み込みます。
その後5分間はうがい・飲食を控えます。
治療期間としては3年から5年くらい実施することが推奨されています。

期待できる効果

一般的に舌下免疫療法などでは8割程度の患者さんで有効性が認められます。
花粉症症状の改善やそれにともない生活がしやすくなること、アレルギー薬を減量することなどが期待されます。

どんな副作用がありますか?

最も心配される副作用がアナフィラキシーやショックといったアレルギー反応に伴う重篤な病状です。治療後すぐに発生することがあるため初回投与の際には病院で30分程度は観察します。
その他は、口腔内の違和感、のどのかゆみ、耳のかゆみ、頭痛などがあります。

舌下免疫療法を希望の方へ

舌下免疫療法の実施に関して、学習を積んだ処方資格のある医師でなければ治療できないため、受付・診察室等で「舌下免疫療法を希望します」とお申し出いただければ、処方資格のある医師の外来をご案内いたします。
舌下免疫療法は比較的あたらしい治療方法で、毎年花粉症の症状が強く、一般のアレルギー薬でも症状がつらい方にとってはよい治療選択肢になると思います。

0484213030

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