こんにちは公平病院 腫瘍内科です。
当院では2019年10月18日の世界骨粗鬆症デーに合わせて院内展示企画を
行う予定です。
患者さまに少しでも高齢化社会における骨の健康の維持の重要性やその方法についてご興味をもっていただく企画しています。
よろしくおねがいします。
当院骨粗鬆症デー企画はこちら
https://kodaira.life/letter/pharmacist/post-155.php
さて、今回はがん患者さんやがんサバイバー(がん経験者)の方のために骨粗鬆症予防のガイドラインが米国臨床腫瘍学会(ASCO)から発刊されましたので3回にわけてご紹介していきたいと思います。
本邦にも「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)」
http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf
がありますが、今回はがん患者さん向けのガイドラインという位置づけなります。
がんの場合には、がん自体、炎症、がん治療によって骨粗鬆症リスクが高まることが知られています。しかしながら、骨粗鬆症は骨折などのイベントが発生しないと普段は症状がありませんし、骨密度検査などを行わないと骨がよわくなっているかどうかわかりません。
今回のガイドラインは、がん患者さんやがんサバイバーの方を普段から診療する医師や医療者が知っておくべき点をまとめています。
その要点を患者さまにもわかりやすいご説明していきたいと思います。
【今回のテーマ】
★(転移性や進行したがんでない)がん患者さまのなかで、どんな状態だと骨粗鬆症になりやすいのか?
1) 身体的な要因
・高齢
・喫煙を継続している
・過剰なアルコール摂取
・成人期における外傷でない骨折の既往
・性腺機能低下
・運動機能低下(移動能力の低下)
・転倒リスクが高い
・長期間にわたるステロイド治療
・低体重
・骨盤骨折の家族歴(両親)
・閉経後の状態
2) がんに対する治療の要因 (表1)
・ホルモン治療(女性:アロマターゼ阻害薬)
・ホルモン治療(男性:抗アンドロゲン薬、LH-RHアゴニスト)
・がん治療等による早期閉経
3) 骨粗鬆症による骨折リスクの評価
骨粗鬆症によって発生する骨折のリスク分析ツールとしてFRAXというツールが知られています。FRAXは海外で開発されましたが、下記リンクにあるように日本語版も知られていて必要項目の入力により今後の骨折可能性などが推定されます。
FRAXのリンク
https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?lang=jp
上記の1)〜3)などを総合的に勘案して、リスクが高い方には骨密度検査によって骨粗鬆症の有無を確認しておくことが推奨されます。
当院では骨密度測定を実施することができます。
骨密度測定については、看護部からのお知らせに詳細が記載してありますのでそちらをご参照ください。https://kodaira.life/letter/nurse/1-5.php
骨を守って健康寿命を伸ばしていきましょう。
参考文献:Shapiro CL, Van Poznak C, Lacchetti C et al. Management of Osteoporosis in Survivors of Adult Cancers With Nonmetastatic Disease: ASCO Clinical Practice Guideline. J Clin Oncol. 2019 Sep 18:JCO1901696.