2019.07.30

臨床雑誌「内科」8月号についてご案内です

当院病院長 公平 誠 医師の連載記事「プライマリーケア医のがん診かた」が臨床雑誌「内科」8月号に掲載されました。
今回は、がん患者さまの「痛み」(第1回目)について解説しています。

がんでは"痛み"が生じることが多くあります。
がんによる痛みは、がんの診断時に20-50%、進行がん患者全体では70−80%の患者に存在し、多くの場合には身体の2カ所以上の複数の箇所に痛みが生じているとされています[1]。


<がんに関連した痛みの種類について>
1.がん自体が直接の原因となる痛み (狭義の"がん疼痛")
2.がん治療に伴って生じる痛み(手術、抗がん剤、放射線治療などによるもの)
3.がんに関連した痛み (筋肉の痛み、四肢の浮腫、便秘などによる痛み)
4.がん患者に併発したがんに関連しない疾患による痛み(いわゆる"非がん性疼痛")

今回は、2,3に該当する、がん治療を終えたがんサバイバーの方を対象にがん治療に関連した痛みなどの種類や治療方法などについて解説しています。

がん治療関連の痛みというとあまり馴染みのない方も多いかと思います。
実はがん治療で行う、手術、放射線、抗がん剤治療などで、治療後に痛みが生じることは少なくありませんし、あまり治療関連だと医師や患者さんご自身も気づかない場合もあります。

1)手術
手術後の痛みは、術後遷延性疼痛(chronic post surgical pain: CPSP)と呼ばれており、2018年6月に新たに発表された国際疾病分類第11版(ICD-11)から新たな分類として掲載されるようになりました[2]。そして、CPSPは術後患者の10〜20%に発生すると報告されており、約1%は治療抵抗性であり術後の健康上の問題となっています。

特に有名なのは、肺がんなどの手術後におきる開胸術後疼痛症候群(post thoracotomy pain syndrome: PTPS)や乳がんの術後におきる乳房切除後疼痛症候群(post mastectomy pain syndrome: PMPS)などが知られています。
なんとなく、肺がんや乳がんの手術を終えたあとしばらくたっても胸の痛みなどが続く場合などはこれらの痛みの可能性があります。
通常の痛みどめで効果が得られない場合もあるので、がんの専門医にみてもらうのがよいです。

図1、術後の慢性疼痛の発生頻度
公平だより+図.jpg


2) 抗がん剤
抗悪性腫瘍薬による痛みとして問題になるのが、がん化学療法に伴う末梢神経障害(chemotherapy--induced peripheral neuropathy;CIPN)です。感覚神経のダメージによりしびれあるいは感覚鈍麻(numbness),チクチク 感(tingling),疼痛(pain)を生じます。さまざまな抗がん剤で生じますが、抗がん剤を期間中や期間終了後にビリビリするような痛みがある場合にはCIPNに該当する可能性があります。しびれのような痛みというのは日常的に感じるいたみでないので、痛みとして認識しない場合もあります。正座を長時間したあとにしびれているような感じというのは参考なるかもしれません。これらの神経障害による痛みについては、通常の痛み止めではなく末梢神経障害の薬を使います。

また、乳がんの手術後にホルモン治療を行っている場合には関節痛などが問題になります。こちらも医師が気づいていない場合もあるので、ホルモン療法中に日常的に痛みを感じている場合には医師と相談することを勧めます。

3)放射線治療
放射線治療後の痛みとして腕神経叢障害によるうでの痛みや放射線性骨壊死によるあごの痛みが知られています。
腕神経叢障害は乳がんの術後照射で多く、その他に頭頚部がんの照射、肺尖部の肺がんに対する照射、ホジキンリンパ腫の場合にはマントル照射でなどで発生することが知られています。

がんサバイバーの方の痛みで注意すべきこととしては、新規に発生した痛みやもとからある痛みの性状や強さが変化した場合にはがんの再発や進行などの兆候である場合があるということです。そのため痛みがあっても漫然と痛み止めだけ治療ですませずにしっかりと評価を行うことが必要となります。

当院では、腫瘍内科の専門医3名でがんサバイバーシップケアにあたっています。
がんに関連する痛み、そうでない非がんの痛みであっても痛みの評価や治療を行っていきます。
痛みなどの症状がとれずに困っている方はぜひ腫瘍内科外来までご相談ください。

参考文献
1. 医療用麻薬適正使用ガイダンス、がん疼痛治療における医療用麻薬の使用と管理のガイダンス、厚生労働省医薬食品局 監視指導・麻薬対策課
2. Schug SA, Lavandʼhomme P, Barke A et al. The IASP classification of chronic pain for ICD-11: chronic postsurgical or posttraumatic pain. Pain. 2019 Jan;160(1):45-52.
3. Macrae WA et al. Chronic post-surgical pain: 10 years on. Br J Anaesth. 2008 Jul;101(1):77-86.


内科8月.jpg

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