こんにちは。
薬剤科です。
今日は近年流行の兆しを示しているRSウイルスについてお話ししていきます。
RSウイルスは昔から存在していたウイルスで、感染すると風邪のような症状を引き起こしますが、成人が感染しても風邪同様に自然軽快すると言われていました。しかし最近、ご高齢の方が感染した場合に重症化することが分かってきています。
1.RSウイルスとは
RSウイルスは、日本を含め世界中に分布しています。人生のうち何度も感染と発病を繰り返しますが、生後2歳までにほぼ100%の方が1度は感染すると言われています。症状としては、軽い風邪様の症状から重い肺炎まで様々です。主な感染経路は新型コロナウイルスと同じく飛沫感染や接触感染です。
2.成人・ご高齢の方におけるRSウイルス感染症の重要性
15カ国におけるインフルエンザ様症状を呈し入院を必要としたご高齢の方のうち、平均で約10%をRSウイルス感染が占めていたことが分かっています。また、インフルエンザと同等の致命率を引き起こすことが示唆されています。このようなことから、ご高齢の方においてもRSウイルス感染の重要性に注目が集まってきています。
3.RSウイルスの流行状況
下の図は埼玉県におけるRSウイルスの感染状況です。
青線が2019年、緑線が2021年の感染状況です。感染者数が増加傾向にあることが分かります。
(2020年は新型コロナウイルス対策のおかげで流行していません。)
(埼玉県 感染症情報センターHPから引用)
4.RSウイルスのワクチン・治療薬
現在、RSウイルスに対する有効なワクチンや治療薬はありません。
(唯一、抗体製剤のパリビズマブがありますが、適用は乳幼児に限られています。)
5.ワクチンの開発状況
ワクチン開発は30年以上続けられていますが、依然として研究中です。
近年、新型コロナウイルスのワクチンと同じ技術でワクチンの開発が進められているそうです。
早く開発が進むといいですね。
以上、RSウイルスについてのご紹介でした。
気を付けたい感染症は新型コロナウイルスだけではございません。
今後も、密になるような場所では換気やマスクの着用、こまめに手洗いや消毒を行い、感染症の予防に努めましょう。
参考)
1.国立感染症研究所 成人・高齢者におけるRSウイルス感染症の重要性
2.厚生労働省 RSウイルス感染症Q&A
3.埼玉県 感染症情報センター 定点把握対象疾患の動向