こんにちは、放射線科です。
本日は乳がん検査についてお話させていただきます。
検診でマンモグラフィを撮影していると、
受診者様からたまにこういう質問をされます。
「乳がんの検査って色々あるけど、結局どれがいいの?」
市民検診などの一般的な乳がん検診はほとんどが「マンモグラフィ(乳房X線検査)」ですが、乳がんの検査は他に「超音波検査」や、最近では乳ドックとして「MRI」を取り入れている施設もあります。
当院のマンモグラフィ装置(富士フィルム AMULET innovality)
どの検査が1番いいのか疑問に思われるのも納得です。
答えるとするなら
「検診に最も適している検査はマンモグラフィですが、各検査それぞれで得手不得手があります」
といった回答になるかと思います。
以下で各検査を比較しました。
各検査の比較
<石灰化・腫瘤(しこり)の検出>
初期の乳がんの特徴として、微細な石灰化があります。
これが最も見つけやすい検査はマンモグラフィであり、MRIは少し苦手とされています。
腫瘤(しこり)の検出はどの検査も大きく劣りません。
ただ、若い方で乳腺濃度が高い方は、マンモグラフィでは少し見つけづらくなる場合がございます。
当院ではそういった高濃度乳腺の方へ、検査結果と共に乳腺濃度の情報も添付して送らせていただいております。
実費となってしまいますが、可能であればぜひ超音波検査をご併用ください。
<検査の再現性・客観性>
マンモグラフィ、MRIでは大きな差はなく、比較的客観性を保てます。
超音波検査は検査する人の手技レベルにより多少の差が出る場合がございます。
当院はすべての乳房超音波検査を女性医師が行います。
<安全性>
痛みがなく、もっとも安全性が高い検査は超音波検査です。
マンモグラフィは放射線被ばくがありますが、その線量は非常に少なく、身体的影響はほぼないといえるレベルです。
検査時に痛みを感じる方は多少いらっしゃいます。
乳房MRIは被ばくはありませんが、乳がんの検査を行う場合、造影剤の使用が望ましいとされていますので、体内に造影剤を注入して撮影します。
最近では造影剤を使用しない乳房MRIもございますが、造影検査と比較すると病変の見つけやすさは劣ります。
<検査時間・費用>
検査時間はマンモグラフィが最も早く、5分程度で撮影が完了します。
超音波検査も10~15分程度です。
MRIは検査内容や装置にもよりますが、造影検査でしたら30~60分ほどかかります。
費用に関してはMRIが最も高くなります。
以上から、総合的に見ると
乳腺濃度が高くない方 → マンモグラフィ
乳腺濃度が高い方 → マンモグラフィ+超音波検査
が望ましいのではないかと考えます。
戸田市では毎年6月末から市民検診のクーポンが配布されます。
(感染者状況により変更になる場合がございます)
特に年度末は予約が取りづらくなることがございますので、クーポンが届きましたらぜひ早めにご予約下さいませ。